木の保育家具・用品|株式会社ナガサワ

Specialty家具の強度

オーダーメイドの強みとは? 一から設計した本当の強さ

ナガサワが家具をつくる中で大切にしていること、それは「基本を大切に、お客様が望むものをより良くつくること」です。
お客様の望むものをカタチにすることだけがオーダーメイドではありません。お客様の期待を超えること、それがモノづくりの原点であり、私たちの役割りです。
オーダーメイドは、限られた条件下においてお客様の意図や想いを理解し、その空間や用途・目的に応じたものを、ものづくりの立場でつくっていくわけです。
つまり、設計です。あらゆる想定をし、不具合を未然に防ぐ。
設計には、その基本となるべき原理・原則、そして理論が必ず存在します。

木材を知り、接着剤や塗料など特性を理解し用途に応じて用いる材料工学、適正なサイズでものをつくるための構造力学、使用する人・環境、動作・導線などの人間工学などなど。
これらが設計をする上で、全ての基本となります。
過去のデータや試験を基に試作を行い、破壊する。壊れた結果を検証し、さらに改良を行っていきます。
算式だけでは導き出すことのできないそれぞれの個体差を把握するために、サンプルをつくり同じ使用条件下で実験をすることにより実測値を得る。
その実測値をさらにモノづくりに活かしていくわけです。

例えば・・・棚板が撓む!?

周りにある収納棚の棚板が重みで撓んでいませんか?どのようなものをいれるか想定せずに設計をすると軽いものはよいですが、書類や本などの紙類は、意外にもかなりの重量があり、棚板が撓んでしまうことがあります。

A4サイズの本や書類を90センチの棚に並べると、その重さはなんと34kgになります。
図は、撓みを求めるための固定棚と可動棚の構造計算の一例です。

計算式としては周知のものですが、分母にくる係数(48)は使用する材種やその工法などにより大きく変化するため、実測から計算して係数を導き出していきます。

このように収納棚の設計において、外見の色合いやサイズの検討だけではなく使用する材料の強度に応じて、板の厚みやその工法を検討していきます。

例えば・・・抽斗が壊れる?

よく見受けられることではありますが、抽斗の前板がはずれた、なんてことありませんか?

量産化の流れの中で、いかに効率的に、安い商品をつくっていくかということが業界の至上命題のように言われてきました。高級品であったものが、一般の私たちでも手にすることができるような価格になり、それは非常にありがたいことではあります。

しかし一方で、安価な大量生産品が普及することにより、モノの価値そのものが低下し粗 に扱われ捨てられていく。便利で豊かな生活を提供することは、モノづくりをする私たちの願いではありますが、浪費・使い捨てする家具づくりをそのままにしておくことは、本意ではありません。

かって日本においても耐久消費財といわれた家具ですが、1960年頃より効率的な生産を目的とした、ドイツ発祥のダボ構造が世界中に普及しました。
写真をご覧いただくと一目瞭然ですが、2つのパーツにそれぞれ孔をあけ、木の丸棒(ダボ)でジョイントする工法です。
加工・組立が容易ですが、その強度はホゾ組の数分の一、数十分の一以下です。強度とは、部材同士の接着面積に大きく左右されますので、ダボ構造とホゾ構造の接着面積の差は明らかで、強度も全く異なります。

ダボ構造

ダボ構造

ましてや抽斗は手前に引き出すため、開け閉めするたびに、玄能(金槌)でたたき壊すような動きになりますから、差し込んだダボが抜けるのは当然です。

そのような日常動作を想定し、少し複雑なつくりではありますが、ナガサワでは伝統的な鳩尾(きゅうび)組継という工法を用いて抽斗を製作しています。

鳩尾(きゅうび)組継

鳩尾(きゅうび)組継

これらはほんの一例に過ぎませんが、材料の特性を見抜き最大限の耐久性を確保することが、私たちつくり手の責任といえるでしょう。

設計とは、単に図面(絵)を描くことではなく、お客様や必要としていることや課題を理解し「品質保証ができるものをつくる」ことなのです。