木の保育家具・用品|株式会社ナガサワ

Greeting代表あいさつ

代表あいさつ

今では想像がつきませんが50年前、私が建築を学んだときは「バケツ」や「ホウキ」と並んで「家具」も備品として一括りにされてしまうほど扱いはひどいものでした。
「家具は生活の中心であり、心を豊かにする大切なもの」と当時から考えていた私にはいつしかそれを証明すること、それが家具屋を選んだ原点になったのかもしれません。

その後、徐々に市民権を得ていく家具ですが、1960年頃から椅子とダイニングテーブルという欧米の生活様式がさらに後押しした時代でもあります。しかしここにもまた大きな問題がありました。
その生活様式を様変わりさせた椅子やテーブルですが、欧米からの輸入品やそれを基に設計していたこともあり、体格的に日本人にはまったく合わず高すぎたものがスタンダードになってしまったのです。
この流れは学校や児童施設でも同じで、子どもたちの使っていた椅子や机もすべてが高いまま日本工業規格の標準規格として定められました。(1949年制定、1999年改正)

そのような家具業界のなかで私は創業当時(1988年)から日本工業規格に頼らず、お客様の使用感や大量のデータ、人間工学、材料力学を基に日本人に合った長持ちする家具を独自の自社基準を設け、お客様にお勧めしてきました。
そして、たどり着いた先に自分たちでは選べない子どもたちの家具にこそ、この自社基準が生かせる、と次々に現場で使える子どもの家具を作ったのを覚えています。
しかし、ときには「日本工業規格に準拠していない」とご注文がキャンセルになってしまった苦い経験もありましたが、理解をいただけるお客様やこどもたちの笑顔が私を支えてくれました。

そして大きな変革が、2019年起こります。
1度の改正から20年がたち、日本工業規格が日本産業規格へと大きく改正されたことです。その内容は自社基準にかなり近く、私自身の原点でもある「家具は生活の中心であり、心を豊かにする大切なもの」という思いや報いが到達できたひとつの瞬間でもありました。

さまざまな月日を経てここがゴールでなく、今でも毎日がスタートです。「これで問題なかったからいいだろう」「当たり前だからこれにしよう」と歩みを止めてしまうのは簡単なことですが、まだまだ家具への思いは続き、探求心や創作欲に終わりはありません。
なぜ?どうして?を何度もくりかえし、人間工学や材料力学に基づき「心を豊かにする大切なもの」を数字で説明のできる家具、子どもが笑顔になる家具をこの先も作り続けていきます。

ナガサワはおかげさまで35年を無事に迎えることができました。これもひとえに皆様のご愛顧、お引き立てのたまものです。
これまでお客様には毎日挑戦することや、楽しく家具を作れる機会や環境をいただき感謝しかありません。本当にありがとうございました。
今後も引き続きのご指導を何卒よろしくお願いいたします。

Profile

1948 年、山形県新庄市生まれ
千葉大学卒業後、大手家具メーカーで17 年勤務
企画、デザイン、技術開発、工場長を経て、1988 年静岡にて独立
子どものものを作り始めて半世紀。現在も継続中。